こんにちは!働く母nanaです。
今回は次男の持って生まれたものと、複数の病院に通院したことから気づいたことを記事にしました。
息子の通院を通じて、さまざまな医師と接したことで「医師によって持っている知見が異なり、治療方針が180度異なることがある」ことを知りました。
この経験を通じて、「信頼できる医師」とはどんな人か?を私なりにまとめてみました。
同じような状況下にいらっしゃる方など、ご参考になれば幸いです。
はじめに~経緯の概略~
私の次男は、「脊髄脂肪腫(二分脊椎)」と診断されました。
これからお話しする今までの経緯について、概略は以下です。
ぜひご興味のある部分よりご覧ください。
- 地元の個人産院で出産→生後10日で地元の総合病院を受診→経過観察
- 思いもよらない転機が訪れる→1歳3ヶ月で転院決定
- 小児専門病院にて1歳6ヶ月で入院・手術(脊髄脂肪腫摘出術/脊髄係留解離術)
※脊髄脂肪腫(二分脊椎)についての具体的な説明は割愛いたします。また、当記事は私一個人の私見であることをご了承ください。
▶入院生活・手術・その後の生活については、こちらの記事にまとめています。
産院を退院後、生後10日で総合病院へ
次男は、地元で評判のクリニック(産院)で自然分娩にて出産しました。
無痛分娩も取り扱うほど、個人クリニックにしては大規模な産院です。
妊娠中のエコー検査を含め、妊娠経過で特に指摘されることはなく、楽しみな気持ちで出産日を待っていました。
そして40週2日、陣痛が来て出産!2回目の出産ということもあり、陣痛から2時間ほどで無事に出産。
「お母さん、お疲れさま~!」「きゃー!赤ちゃん、もううんちしてるよー!」など、助産師さんたちの明るくにぎやかな様子が聞こえてきます。
「さあ、またこれから新生児育児が始まるぞ…!」と心の中で気合いが入り、産後直後の安静のため、分娩台上で天井を眺めていたときでした。
我が子を取り上げてくれた医師が近寄ってきて、静かなトーンでこう告げられました…。
「腰のあたりに瘤(こぶ)があります」
「ニブンセキズイかもしれない」
「緊急性はないですが、退院後にすぐ総合病院を受診してください」
と言われました。
その後、産院での入院中の我が子は、他の子と同様に母子同室でしたが、足裏に酸素計測器が付けられ、24時間管理されていました。
そのときはまだ、我が子が持って生まれたものを、私は理解できていませんでした。
地元総合病院での受診内容
33の診療科、500床の病床、ドクターヘリ用ポートが目印の地元総合病院。
地元では一番大きな総合病院(大学病院)で、診療日は多くの人が行き交っています。
地元総合病院での通院経過は以下のとおりです。
- 計3回受診
- 初診(生後10日)→初回MRI(生後8か月)→2回目のMRI(生後1歳3か月)\ここで転機が訪れる・後章参照/
①初診(生後10日)
産院からの紹介状を持参し、生後10日で脳神経外科を受診。
外来担当 脳神経外科A医師からの説明は、あっさりしたものでした。
「まだこの子は小さすぎて、鎮静剤を使うことができないため、MRI検査ができない。」
「生後8ヶ月頃にMRI検査の予約入れときます。」
それ以外の説明はなし、「ニブンセキズイ」の「ニ」の字も出てきませんでした。
あのー、産院で「ニブンセキズイの可能性がある」と聞いたのですが、、、
まだMRI画像を見ていないから断言できない
普段の生活で、気を付けるべきことは?
瘤(こぶ)の周りを清潔に保つことかな
その他いくつか質問をしたのですが、診断がついていないということもあり、個人的には手応えのない受診でした。
当時の私は「医師の言うことは絶対。医師を信じるしかない。」と違和感なく、思っていました。
②2回目の受診:初回MRI(生後8ヶ月)
初診から8か月の間に、次男はすくすく大きく育っていました。
離乳食が進み、おすわりやはいはいができるように。
順調に発達してくれていたので、私たち夫婦は安堵していました。
そんな状況で、脳神経外科を受診しました。
すると、担当医がA医師→B医師に変わっていました。
どうやらB医師は脳神経外科部長で、本院の役員も務めている大御所とのこと。
(地元総合病院は分院的役割で、系列の本院が別にある。創設期のため人手不足(?)のようで、本院在籍の医師が出張で来ることもある。)
トリクロ(眠り薬)服用のうえ、初めてのMRI検査に臨みました。
∟初回MRI検査の結果
- 人より脊椎が長く、また骨の中に脂肪が入り込んでおり、脊髄の先端が脂肪と癒着している。=「脊髄脂肪腫」
- この病気は、神経(脊髄)が脂肪に引っ張られることにより、神経周辺の機能※に障害が出る可能性がある。 ※歩行障害、排尿・排便障害 等
- 障害が出るか出ないかはその人次第。40歳になって障害が出始めて、そこで初めて「二分脊椎だった」と判明する例もある。
- 手術は症状が出始めてから考えればいい。
- それまでは半年~1年ごとにMRI撮影して、経過観察するだけ。
初診時よりも具体的な話が聞けて、しかもB医師が堂々とした説明をしていたため、今回の受診は手応えがありました。
もしかしたら「脳神経外科の部長×大学病院の役員」という肩書きのある人の説明であったため、満足していたのかもしれない。
何よりも「症状が出ない可能性もある」と聞いて安心しきっていました。
その日は、半年後(1歳3か月)のMRI検査の予約を取り、帰宅。
しかし、私たちはそこでひと安心している場合ではなかったのです…。
転院が決定
いま振り返ってみると、小児専門病院に転院できたことは偶然・奇跡としか言いようがありません。
次男は1歳3か月、1歳前からつかまり立ちができるようになり、ひとり歩きがやっとできるようになった頃。
「もしかしたら、この子は一生、症状が出ずに生きていけるかもしれない…」と期待感を持っていました。
③3回目の受診:2回目MRI(生後1歳3か月)
2回目のMRI検査予約日に受診したところ、脳神経外科部長 B医師がお休み(?)でした。
代替医師は、外科部長 C医師(脳神経外科とは別の診療科)。
B医師とは対照的で、謙虚でもの静かな印象。
2回目のMRI検査の画像を見ながら、遠慮がちに話を始めました…。
∟2回目MRI検査の結果
「私のような臨時で診た者に突然言われても信用できないと思いますが…」
「この子の場合、脊椎(神経)と脂肪の癒着範囲が広く、ほぼ確実に何らかの障害が出る可能性がある」
「今、何の支障もなく生活できていることが奇跡」
「この子の将来の選択肢を増やすために、症状が出ていない「いま手術をするかどうか」、検討されることをおすすめします」
ちなみに地元総合病院では手術不可とのこと。
(簡単な手術であれば、小児でも全身麻酔で手術を行っているが、今回の症状の小児にかける麻酔に詳しい者がいないらしい。)
また、本院にあたる系列病院(創設期にある地元総合病院は分院的役割で、本院が別にある。本院在籍の医師が出張で来ることもある。脳神経外科医B医師もその一人だった。)であっても、その病院の治療方針によっては「症状が発症してから手術」と一方的な選択をされてしまうこともある、とのこと。
まずは、小児の脳神経外科のトップクラスである「県下唯一の小児専門病院」を受診して、この子の現状を改めて聞くことを勧められました。
「総合病院なのに手術できないなんてことあるの?!」というのが率直な感想でした。
また、同病院の医師なのに、「こんなにも治療方針が違うなんて…」と若干の不信感も抱いてしまったのも事実です。
小児専門病院への転院後~やはり医療の質が高いと実感~
地元総合病院で紹介状を受け取り、すぐさま小児専門病院へ予約の電話しました。
なかなか混みあっているようで、地元総合病院最終受診から2週間後に予約が取れました。
小児専門病院は、自宅から高速道路経由で、車で40分ほどの距離。
④小児専門病院での初診内容
- 妊娠中~産後~今に至るまでの経緯や家族構成など、丁寧にヒアリング。(地元総合病院では、そこまで聞いてくれなかった。)
- 脊椎脂肪腫(二分脊椎)の発生メカニズムや懸念すべき点など一般的な説明。(紙に手書きで図を描きながら、これも丁寧に説明してくれた。今まで担当になった3人の医師が言っていたことや自分で調べたネットの情報がすべて繋がった感じ!)
- 地元総合病院から持参したMRI画像を見ながら、次男の病状についての説明。
小児専門病院 脳神経外科 D医師からは、
「この子の場合は、脊髄(神経)と脂肪の癒着範囲が広いため、日常生活でも神経が損傷してしまう。損傷が進行して症状が出始める前に、なるべく早く手術をしたほうがよい。」
と、転院を勧めてくれた地元総合病院 外科医 C医師とおおむね同様の説明でした。
そして、その日は初診日なのにもかかわらず、さっそく3か月後に手術が決定!
その後の流れとしては、
- 3か月後(1歳6か月)の手術日までの間、いくつかの診療科にまたがる術前評価を行う。
- なぜ術前評価が必要なのか? →「本当にいま手術をすべきか。現段階で発症している障害はないか。」など、脳神経外科だけでなく、様々な診療科の医師の所見を多角的に集め、手術要否を総合的に判断するため。
- 手術説明は、術前評価がすべて終わり、医師の所見が集まった後に改めて行う。
術前検査内容
- ①整形外科→特に足について、外見上、問題はないか
- ②泌尿器科→排尿機能に問題はないか(ビデオウロダイナミクス検査※を実施 ※尿道からお水を入れてレントゲンを撮りながら膀胱の機能を確認する検査)
- ③リハビリ科→足の動きや反応に問題はないか
手術説明
- 今回の手術が無事終わったとしても、必ず、将来発症しないことは約束できない。(症状を「良くする」手術ではなく、「これ以上悪くしない」手術という位置づけ。)
- 今回の手術で脊髄(神経)の突っ張りがなくなることにより、排便・排便障害を発症することがある。(全体の約2~3割)これは手術によって発生するものではなく、将来に向かっていつか発症する可能性があった症状が、前倒しで発生するもの。
- その他、麻酔や輸血等の危険性などについての説明
以上のことを踏まえ、私たち家族は、次男の手術をお願いすることに決めました。
小児専門病院の医師たちの説明を聞いて感じたこと
術前評価のため、計4つの診療科を受診しました。そこで感じたことは以下のとおりです。
- 主治医となる脳神経外科D医師をはじめ、この小児専門病院の医師たちは皆、脊髄脂肪腫という症例に詳しかった
- 「脊椎脂肪腫の中でも4つのタイプがあって…」など、症例研究の深度が伺えた
- また、様々な診療科を回るなかで、待合室にいる多くの患者さん(子どもたち)を目にする機会があった
- 一人一人違うものを持って生まれてきていることに対し、個々に対応できる能力のある病院であることが垣間見えてきたことで、医療の質の高さを実感できた
おわりに ~今だから言える信頼できる医師の見極め方~
生後すぐ~1歳3か月で転院するまでの間、多くの医師の診察を受けました。
このことを通じて、私の中で「信頼できる医師とは?」という問いの答えが見つかりました。
- 知見の少ない医師→「この病気は…」と、病名を主語にしかできず、一般的説明や予後しかできない。 =自分でネットで調べる知識とほぼ同等レベル
- 信頼できる医師→ MRI画像等を見て「この子の場合は…」と、患者を主語に話ができる
私のように偶然や奇跡に頼るのではなく、ぜひ我が子の将来のために主体的な選択をされることを祈っております。
同じように不安を抱えている親御さんのお役に立てますように…。
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